2007/07/29

島は売り物?──直島、豊島

2007.07.22
【岡山県】

 直島(Map)

 集落の中を若者の集団や外人たちが歩き回っています。そんな物好きは自分くらいかと思っていたらこの島は違います。奇妙な小島です。
 美術プロジェクト作品が散在しているだけでは、アートな島とは言えないと思いますが、「著名な」と冠のつく芸術家の力が働いているのでしょうか(安藤忠雄さんの建築物には感銘を受けたことがあります)。
 そんな宣伝の力なのか、観光バスがフェリーに乗ってやってくるのには驚かされました。昨今瀬戸内には大きな橋が次々と架けられ、観光バスがフェリーに乗って訪れる島は小豆島くらいかと思っていましたが、ベネッセ恐るべしです。
 だからと言って、いきなりこんな写真見せられてもワケ分からないですよね。
 主催者言うところの、家プロジェクト「南寺」という作品です。中はギャラリーだそうですが、要予約とか書いてあったので入りませんでした。


 とは言え、そんな作品が散在するのもこの本村地区だけで、あとはベネッセハウス(宿泊施設、美術館)があるだけのことです。その施設の入り口にも門番が立っていて、敷居が高そうな印象を受けそそくさと引き返してきました。
 これらの施設は「誰のためにあるの?」という疑問を持ちました。客寄せのために自治体が誘致したのだと思いますが、それで島のためになっているのだろうか? と強く感じました。
 そりゃ、数軒はアイスクリームなどのお店を出していても、島をあげてのプロジェクトとは感じられないことに違和感を覚えたからです。
 始まったばかりで、これから浸透させていく考えなのかも知れませんが、ちょっと役所の「税収アッププロジェクト」が先行しすぎている印象があります。島民の方はどう感じてらっしゃるのでしょうか? それが重要な問題なのでは、と思いました。


 宇野からフェリーで渡るときに大きな煙突が見えますが、現三菱マテリアルの銅の精錬工場として作られた施設だそうです。
 現在では、豊島の産業廃棄物処理施設を併設して好感度のアップに努めているようです。
 下の写真は、宇野から豊島へ向かうフェリーから見える光景なのですが(直島への観光客の多くは目にしない光景)、何だか秘密工場のように見えました。
 ──本当に、瀬戸内海には表からは無人島かと思われても、岬をかわした瞬間に異様な光景が広がる島が散在しています。便利な場所だから仕方ない面は理解出来るのですが、対峙(たいじ)する度にギョッとさせられます。
 自治体は「そのおかげで発展してきた」と言いますが、外から見ると「島を売り物にしているのでは?」と感じてしまいます。
 「そのおかげで、暮らしやすいんだ」など、住民が恩恵を受けているのであれば外から文句をいうものではないのですが……




2007.07.23
 豊島(Map)


 結構前になると思いますが、「ニュースステーション」で久米宏がさかんにアピールしていた、産業廃棄物の不法投棄が問題になっていた豊島(てしま)の現場です。フェリーからも、トラックやショベルカーの動きは見え、まだまだ作業は続いているようです。
 上陸後、行けるところまで近づいてみましたが、現場手前の岬を隔てた場所にある海水浴場は閉鎖されていました。
 そのもう一つ岬をかわしたところに、下の写真のリゾート的な施設がありちょっと驚きました。
 産廃の不法投棄は迷惑ではあっても、この自治体(小豆島の土庄町)は結構潤っているんじゃないか、という印象を受けました。


 ここでも「島を売り物にしても構わない」と考えているのではないか、と感じてしまいます。
 過疎化・高齢化が進み、発展の可能性を見捨ててしまった自治体の姿勢が、産廃問題を止められなかった原因の一因なのではないか、との印象もあります(何も分かってない、と言われるかも知れません)。
 老人ばかりの税収のない島で(ここでもお金の話しになってしまうのでしょう)、島民の意志を受け入れることはしょせん無理な話である、と自治体に言われてしまえば他に話しの持って行き先はありません。でも、どうしたらいいのでしょうか? これも、地域格差問題に含まれると思います。
 下の写真は王子ヶ浜海水浴場ですが、島民の人たちは昔から親しんできた当たり前にきれいな海岸のそばで暮らしたい、と思っているのではないでしょうか……

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